賃貸物件を借りる際にかかる初期費用について
マンションなど賃貸物件を借りるときには、毎月の家賃以外に初期費用がかかることはみなさんが知るところだと思います。
ですがいざ借りるとなると、いったい初期費用としてどの程度かかるのか、どの程度準備しておけば良いのか不安になることもあるのではないでしょうか。
今回は、賃貸物件を借りる際にかかる費用について解説します。
初期費用の敷金の概要とその相場
初期費用には、大きく分けて3つの費用が発生します。
そのうちの1つ、まずは敷金とは何か、その概要と相場をご紹介します。
敷金は担保となる費用
まず敷金については、賃貸借契約時に大家さんに支払う費用となります。
支払うと書きましたが、実際には「預ける」という表現の方が正しいかもしれません。
預けるというのは、たとえば入居している期間に家賃の支払いが滞ってしまった場合や、退去時に居室内の修繕が必要になった場合の原状回復費用なども充てる費用になるということです。
賃貸物件では、退去時にはその物件を入居時の状態に戻してから、あけわたす必要があります。
たとえば家具をぶつけて壁紙を破いてしまったり、重いものを落として床を陥没させてしまったなどという場合は、壁紙の張り替えや床の張り替えが必要になります。
その修繕費用のことを原状回復費用と呼び、その費用を前もって敷金として預けておくと考えればわかりやすいでしょう。
つまり、何かのトラブル発生時などのための担保となるものですので、消えてなくなるものではありません。
もちろん家賃の未払いや原状回復費が発生しなかった場合は、敷金は借主のもとに返還されることになります。
ちなみに原状回復が必要になるケースは国土交通省によってガイドラインにまとめられており、借主が故意や過失によって与えた損傷でなければ、修繕の義務はないとされています。
普通に生活するなかで起きる経年による劣化や、壁や床・設備の変色などは、借主に原状回復する義務はありません。
費用の相場は関東と関西で異なる
実は関東では「敷金」呼ばれているものは、関西では「保証金」として呼ばれて扱われています。
この敷金と保証金は、いずれも大家さんに預ける費用としての役割は同じだと考えて良いものですが、この2つの相場は大きく異なります。
敷金は家賃の1〜2か月分とされていますが、保証金はおおよそ家賃の4〜7か月分と敷金よりも大幅に高くなっています。
なぜ保証金が大幅に高いのかは、このあとの項目でご説明します。
また、保証金はあくまでも初期に預ける費用ですので、原状回復費用や一部の返還されない費用を引いた残りの金額に関しては、最終的には借主に返還されます。
しかし、原状回復費用が保証金を超える場合はその限りではなく、退去時に追加で費用が発生することもあり得ますので注意が必要です。
関西で賃貸物件を借りる場合は、初期費用の保証金部分が高くなることは覚えておいた方が安心です。
賃貸物件に対する礼金の概要及び敷金との違いとは
初期費用でかかる2つ目として、礼金とは何かをご紹介します。
礼金は慣習によるもの
礼金とは、賃貸借契約時に貸主である大家さんに、謝礼の意味合いを込めてお支払いする一時金のことです。
これは謝礼ですので、退去する際にも返還されない費用となり、それが敷金との大きな違いとなります。
また礼金は慣習によるもので、法律的に決められた費用ではないため、金額も明確な基準はありません。
謝礼になるものだからと、渡す側の借主が金額を勝手に決められるものでもありません。
これから住もうとされている地域により金額は異なり、その地域差が濃く反映されるものです。
そういった事情から、あくまでもおおよその目安となりますが、家賃1〜2か月分を礼金としているケースが多いことだけ頭の片隅に覚えておくと良いでしょう。
また敷金・礼金ともに家賃とあわせて物件の情報欄に記載がありますので、目当ての物件を見つけた場合は、必ず確認するようにしましょう。
関西では敷引きと呼ばれる仕組みがある
礼金は敷金同様、関東で用いられている費用です。
関西ではそれに似たような仕組みとして、敷引きと呼ばれるものがあります。
これは保証金の中から、ある一定の費用に関しては「返還しません」と謳われている費用のことで、関東でいう礼金と同様のものです。
つまり関西では、敷金と礼金と同じ意味合いを持つ費用をあわせて、保証金と呼ばれていると考えておけば良いでしょう。
なお敷引きの費用の目安は、おおよそ家賃の2〜4か月分となります。
保証金の4〜7か月分のうち、2〜4か月分が敷引きによって返還されない金額となり、関東でいう敷金に相当する部分は、おおよそ2〜3か月分と考えておくと良いでしょう。
初期費用として保証金の費用が高くなる理由は、この敷引きが含まれているためです。
このほかに前家賃と呼ばれる費用もある
敷金と礼金、関西の場合は保証金のほかに、大家さんにお支払いする初期費用のなかに、前家賃というものもあります。
賃貸住宅の場合、家賃は前払いで支払うものですので、入居が決まった場合にはその月だけではなく翌月分の家賃を支払う必要があります。
その翌月分の家賃を支払うことを「前家賃」と呼びます。
この費用も初期費用として含めることを忘れないようにしましょう。
仲介手数料の概要とその相場について
3つ目の初期費用は、仲介手数料になります。
この仲介手数料だけは、お支払いする先が貸主である大家さんとは異なり、借主と貸主を仲介してくれる不動産会社になります。
仲介手数料とは何か
仲介手数料とは、賃貸物件を借りる側と貸す側の間に入り、取りまとめてくれる不動産会社に支払う費用です。
不動産取引は専門的な知識が必要ですので、専門家である不動産会社が間に入ることによって、スムーズな取引になります。
もちろん、不動産会社が仲介せずに借主と貸主だけで契約することも可能ですが、借主にとって大家さんとの交渉はハードルが高く、仕事などで忙しい場合はその時間を確保することも困難です。
仲介手数料は発生しますが、効率よく進めるための経費だと考えることも必要かもしれません。
仲介手数料は法律によって決められている
仲介手数料に関しては、宅地建物取引業法で取り決めがされています。
宅地建物取引業法とは、いわゆる「宅建」と呼ばれているもので、国家資格の1つです。
この宅建を持っている不動産取引の専門家だけが、不動産の仲介が許されています。
仲介手数料の相場と上限
同じく仲介手数料の費用も法律によって定められており、上限は原則的に借主と貸主のそれぞれから家賃の0.5か月分とされています。
ただし依頼者の承諾があれば、借主か貸主のどちらか一方から1か月分を上限として受け取ることができるとされています。
現実的には、仲介手数料は貸主である大家さんが不動産会社に支払うケースが多くありますので、借主側での支払いは発生しないケースもあります。
希望する物件がどのような条件になっているのかは、あらかじめ確認しておくようにしておきましょう。
なお、まれに仲介手数料や敷金・礼金や保証金が最初から無料で設定されている物件もあります。
貸主側の事情で急いで入居者を探したい場合や、駅から遠いなどの理由で条件の悪い賃貸物件の場合など、ほかの物件と差別化を図るためにお得な物件にしているケースです。
初期費用が足りない場合などは、このような物件を探してみることもひとつの手ですので、ぜひ不動産会社に相談されてください。
まとめ
今回は賃貸物件を借りる際に発生する初期費用について、どんな種類があるのか、またどの程度の費用がかかるのかをまとめました。
敷金・礼金や保証金、仲介手数料が主な初期費用にはなりますが、このほかにも引っ越し業者への依頼費用なども発生しますので注意が必要です。
新生活をはじめるには大きな金額が動きますので、前もって計画的に貯金をしておき、引っ越し後は心にもお財布にも余裕のある生活を迎えられるようにしておきましょう。
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